■ ビーズの道具のお話

自分の上質な時間の小道具として

最近、アクセサリーを作ると売りやすくなりましたね。
ミンネ・メルカリ・フリル・クリーマなどで、アクセサリーを作り、スマホで写真を撮り、すぐに出品完了。

こんなに出品が簡単なので、同業者やライバルも多く必然的に価格競争を自ら名乗りでなければならなくなりました。

そんな今どきの背景を考えると、「アクセサリー作り」って何だろう?と考えます。

ビーズのアクセサリーはサクサク作れる。すぐに完成する。もちろんすぐに完成しない手の込んだものもあるのも確かですが、それは一般に自分の首に下げると言うよりは芸術品として飾るもの、見せるものというイメージです。

とにかく、ひとつの作品を作るのにそんなに時間は必要ありません。作品を考えるのに、時間を掛ける事はありますが、作る時間そのものは半日ぐらいの事ではないでしょうか?

すぐに出来るから数が増え、じゃ、売ろう!というそういう考えもそれ自体はあまり問題とは思いませんが、
時短で作ったアクセサリーだとしても、そのひとつはこの世にたった一つしか存在しない小さな作品、あるいは芸術ではないかと思うんですね。

しかしそんな価値を持った作品であるにも関わらず、アーティスト自ら価格競争の中に埋もれて、「自分の作った作品を使って欲しい」という気持ちよりも「売れる事だけを意識した売り方」を感じる事が多くなってきました。

それは今の時代の象徴なのかしら?

売れる売れないではなく、作品の良し悪しでは無く、自分の費やした時間がそのアクセサリーの作品なのだ。という考え方はある意味、非常に贅沢であると思うようになりました。

自分の脳とビーズを見る目の中で、色、形を選びながら…そしてどこかで見た素敵な作品の記憶をたぐらせながら、アクセサリー作りに身を置く。

こんな至福の「時」を価格競争の渦に巻き込んではいけない気がします。

いつも目の前にある「時」を上質にするために、時を作るには時を作る道具が居ります。

その道具は、自分の価値を下げるようなものではいけません。道具に負けない作品を作る為に一緒に楽しむ時間なのですもの。

わたくしは、ワークボードを前に置き、いつも一緒に楽しもう!と心の中で思います。
出来上がった物を、次の日に潰してまた新たに作る事も多いのですが、 ワークボードを前に置く事で、「ビーズの時間」という人生の「時」を過ごしたいと思っています。

それはもしかしたらひとつの儀式かもしれません。

朝、起きて顔を洗い身支度をする。そうして背筋を伸ばすとようやく外に出たり、家族以外の方と会う準備が整う。そんな毎日の何でもない儀式も、執り行わないとやっぱり先へ進めない。

わたくしにとっての ワークボードは、実に上質な時間を整わせるための儀式なのだろうと思います。

貴方にもそんな大切な「時」を大事にして欲しいと願いながら、お送りしています。


葉月硝子

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