■ ビーズの収納のお話
ビーズ収納バッグ「初代ストレージバッグ」誕生物語
世界にひとつだけの自分だけの「ビーズ収納バッグ」を作る事は
所詮 かならぬ夢かもしれない。 と思った日もあったのですが、
取りあえず、この世にかばん屋さんがあるなら 聞いてみようと思い立ちました。
スケッチしたビーズ収納箱を、言葉で伝える事はとても難しかったので模型を作りました。
東急ハンズで発砲スチロールの薄い板と蝶番を買い引き出しも付けて、外側には、合皮の黒いシートをボンドで貼り、
これが形になったら…と、わくわくする思いで、車に積んで、鞄製造会社に飛び込んだのです。
しかし、今までこの世に無いものを商品にするのですから、
作るノウハウを持っているかばん屋さんがありません。
何軒も回りましたが、言われる言葉は
「作ったことが無い。」
「作った事が無いものは部品が揃わない。」
作れないと言われれば なお、その鞄が欲しくなります。
誰が何と言っても作らなければ…と考えていました。
近くの喫茶店で軽く昼食を済ませ、尋ねるのはココが最後かと思い
門をくぐったその会社で、
「作れますよ、ウチで。」
「作って頂けるんですか?」
「ええ、これを作る技術はあります。」
「では、是非お願いします。」
「幾つから製造しましょうか?」
「は?いくつと言われますと…?」
「最初のご契約は最少ロットで100個ぐらいを目安にしていただきたいのです。」
沈黙…
「では、100個作って下さい。」
わたくしと同じ気持ちで「ビーズ収納箱」を探している方がいないはずが無い。
わたくし以外に99人探そう。 そう思ったんです。
それほどまでに、ビーズの収納箱が欲しかった。
ビーズをしていて収納箱がいらない人なんているのかしら?
そこまで思う程、必要だと感じていました。
こうやって、たったひとつの「わたくしのストレージバッグ」が欲しいために、皆様の分も作ることになってしまいました。
わたくしのストレージバッグが欲しいという願いをかなえてくれたのも皆様のお蔭です。
想いやアイディアがこうやって形になって、皆様に喜んでいただけるまでになりました。
皆様に感謝しております。
追記:
このビーズ収納ストレージバッグは、長く皆様に喜んで頂けましたが、2004年(平成16年)10月に発生し、日本列島に上陸し大きな被害をもたらした台風の水害で製造工場の機械が使えなくなったり、また追い打ちをかけるように職人さんたちがご病気や廃業などをするなどで、生産中止をやむなく受け入れなければならなくなり、現在は生産しておりません。
が、しかし、ビーズ制作の為に持ち歩く収納箱は必要だとわたくし自身が強く思うため、この後もいろんな挑戦をしています。
このビーズ業界におりまして、「収納などに誰がお金をかけるものか。」とビーズクラフトの別の付加価値に目を向けれる方は多くいません。儲からないから?そうですね。儲からない仕事はどなたもしないのが当たり前です。
わたくしは一人のビーダーとして、そしてストレージバッグをこの世に送り出した者として、「ビーズの収納やお片付けもプロ級にしたい。上質な趣味として扱いたい」そのように思う方と一緒にこの時間を楽しみたいと思っているのです。
グラスマーブルが存在する以上、皆さまへ商品をお届けしたいと思っています。
葉月硝子